蜃気楼のように

ヤフブ時代の遺留品

椎名誠を(旅に)誘った長崎の女

パタゴニア
あるいは風とタンポポの物語り


私と夫の、テレビ番組の嗜好は似ているが、読書に関しては全く相容れないものがある。
夫の愛読書である作家たちの本を、私はほとんど読まない。
例外に中島らもがいるくらいで、吉村昭沢木耕太郎、西村京太郎などを私は無視してきた。
椎名誠もその一人。うちの本棚にはこの人の本がけっこう並んでいるのだが、私は読まない。
私が椎名誠に抱いているイメージは(子供の心を失わないと言いつつ、その実は
世話の焼けるオッサン)である。(私のブログには男性と言う言葉が登場しない。35歳を
すぎた男は皆、オッサンである。良い意味でも悪い意味でも)

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で、ある時、何かのはずみで手にしたのが上の本。パラリとめくった時、目に飛び込んだのが
長崎の女… 「なに、なに」さすがの私も興味をそそられた。椎名ってこんな話を書くの?
長崎のバス停からバスに乗り込んだ時、バス停に立っている女と目が合ったと言う。
その女はあきらかに自分を見つめていた、と。その先は下の文中で↓
(本の中身を載せても良いのかなと迷いつつ載せてしまった)

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この長崎の女に出会ったことが(その後の)椎名誠と言う人物を作った。
「安定とかやさしさとか静かさとかフツウとかいったものから意図的に脱出したい」と。
椎名誠はすでに家庭を持っていたけれど、妻ではない別の女が運命をさげて
そこに立っていたことになる。ファムファタールと言うらしい。運命の女。

この本、実は椎名誠の夫婦の物語でもある。
一部読者(女性)の過剰なストーカー行為にノイローゼになってしまった妻を置いて
旅立ってしまった作家は旅先で度々、妻の事を考えてしまう。
帰国してようやく妻の元へ戻った時の気持ちなど、この人の著書には初めて書かれて
いたのでは。(と言っても、この人の本は撮影した写真を眺める程度で中身は知らないけど)

1987年に発行された本なので、最近は椎名誠もメディアにあまり登場しないし
(昔はビールのCMにも出てたね) あいかわらず旅に出ているのだろうか。
あまり興味はないけどね。

私のブログのお気に入りの一人、鉄華職人さんが何か月か前に「長崎の女」と言う
長崎の銘菓を紹介されていたので、この本を思い出して、いつか記事にしよう
と思っていたのです。鉄華さん、巫女さんを大切にね。