蜃気楼のように

ヤフブ時代の遺留品

佐藤正午「身の上話」

「身の上話」

元日の新聞を開いたら出版社の広告がズラリ。
光文社からは光文社文庫の広告が。
その一冊に佐藤正午の「身の上話」があった。
1月8日からドラマ放映されるらしい。

私はこの小説を3年前に読んでいる。
「週刊ブックレビュー」で番組アシスタントだった中江有里さんが
推薦していた小説だ。メイン司会者の児玉清さんは、まだご健在だった。
番組が芦屋のルナ・ホールから公開録画した時で、私も見に行った。
児玉清さん、藤沢周さん等がご自分の推薦する一冊を紹介した中で
この本が一番面白そうだった。なにしろ、宝くじ が出てくるので。

行きあたりばったりに生きてきた女の身の上話を、女の夫が
語っているのだけれど、最後に大ドンデン返しが…
最近はこんな語り口調(?)でなければ読者は興味を示さないのか…
普通に書けば普通の話…これが小説ではなく新聞記事だったら
読者はヒロインをどう捉えるだろうか?
(私はヒロインを哀れに思う。彼女の行動ではなく、彼女の運命を)

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文章が達者なのでとても読みやすくて、長編だけど一気に読める一冊。
しかし、こういう小説が後世に残るとは思えない。
ほとんどの小説がそうだけど…