蜃気楼のように

ヤフブ時代の遺留品

米軍基地の街の青春を描いた

「豚と軍艦」


先日「太陽の墓場」を(CSで)観て、記事にしようと考えてたら
その後にこの映画が始まって、焦ってしまった。
封切は私が小学生の時だが、20代の頃に観て
鮮烈に印象に残っている映画。今村昌平監督作品
主演はこの二人、吉村実子と長門裕之
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吉村実子は出演時、高校生だったとか。
なるほど、こうして見ると若い!(と言うより幼い)
なんて野性的な眼をしてるんだろ。
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  長門裕之の兄貴分の丹波哲郎
  少々胃が悪くて、それを気に
  してる男。絶望的な表情ね。
  
  写真撮り忘れたけど、妻役で
  南田洋子が出ていた。役柄の
  せいもあるけど、長門裕之より
  ずっと年上に見えた。





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  初代、黄門様の東野英二郎
  この映画には二代目、黄門様の
  西村晃も出てる。
  二人とも名脇役俳優だったけど
  人生の後半で大きな主役を演じ
  られたのは幸せだったと思う。







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  ビジュアルを売り物にしない
 女優たちの底力を見るような場面 
  
  右の婆さんは武智豊子
  「お笑い三人組」と言うコメディ
  ドラマで三人組の誰かのお母さん
  役だったのを覚えている。50年
  くらい前だけど。
  左のオバちゃんは後に娘婿を
 いびる武家の姑として一世を風靡
 した菅井きん


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  小沢昭一(右)
  浦山桐郎監督の「青春の門」で
  男たちに交じって炭鉱で重労働し
  倒れた吉永小百合を見て欲情する
  炭鉱夫とか、小男役の似合う名優
  加藤武(左)
  黒澤明監督「天国と地獄」で 
  後半、犯人を尾行する刑事の一人
  「何、花屋に入った?誰か花を
  買いに行け」「残念ながら花を
  買うのが似合う奴がいません」


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  吉村実子の姉役の中原早苗
  悪女役のイメージしかなかった
  女優だけど若い頃は綺麗だった。
  「紅の翼」では元気の良い
  女性記者で、裕次郎の相手役 
  だった。 







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  チョイ役のチンピラ、この人を
  ご存知だろうか。
  アニメ「ロボタン」でロボタン
  声を吹き替えていた神戸瓢介
  ウキによると林家染之介を
  一時期、名乗った落語家だった
  とか。







私に強烈な印象を残したシーン
このシーンに、高校生の時にテレビで観たアンジェイ・ワイダ監督の
「灰とダイアモンド」のラスト・シーンを思い出したのだ。
「灰と」の主人公、マチェックは銃弾を受けて
もがき苦しみながら広大なゴミ捨て場の中で絶命した。
長門裕之も銃弾を浴びて、よろめきながら
公衆トイレの便器に顏を突っ込んで息絶えた。
共に自分の生き方に疑問を持ち始めた直後だ。
「痛いよお」と呻く長門裕之の痛みを私も感じた。
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米軍基地の街、横須賀で米軍に寄生するように生きる人々
基地の残飯で豚の飼育を目論むやくざたちの闘争
その争いに巻き込まれて自滅する若者
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うらはらに、そんな街(生き方)を捨てて
自分の人生を探しに旅立つ娘
「太陽の墓場」のヒロインは街を捨てたのではない。
街で生き続けるために歩み出したのだ。
留まる女も出て行く女も、どちらも強く美しい。
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