蜃気楼のように

ヤフブ時代の遺留品

魅惑の中原早苗 「人形の歌」

人形の歌

女優の中原早苗さんが今年亡くなったとは知らなかった。
ご存知、深作欣二監督夫人だ。色々あったようだけど。
私が長い間、中原早苗と言う女優に抱いていたイメージは 
悪女 そのものだった。

テレビの「ザ・ガードマン」では必ず悪女役でゲスト出演していたし、
映画の「修羅雪姫」ではヒロインの家族を惨殺した悪党の一味で
ヒロインの復讐を恐れて首を吊って自殺するも、その死体を
ヒロインに胴体真っ二つに切断される、壮絶な悪女を演じていた。
彼女が明るい娘役で出ていた「紅の翼」を見てびっくりした事もある。

紅の翼」では裕次郎の相手役だった。彼女は新聞記者の役。
裕次郎パイロットを務める小型飛行機に、中原早苗と凶悪犯の
三谷英明が乗り込む。飛行機は離島に血清を届けなければいけない。
確か、そんな話だったと記憶している。
裕次郎の妹に芦川いずみ。他にステュワーデス役の女優さん。
三人ともワーワー泣いて、すぐケロリとしているような元気娘たちで、
裕次郎をめぐって三人で騒ぐラブコメ・タッチの続編を作ってくれない
かなと思ったほど楽しい(?)アクション映画だった…

今日、たまたまテレビをつけたら「人形の歌」を放映していた。
チャンネルNECOだけど) この人が主演の映画だった。

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どう、この美しさ。綺麗な人だったんだ。
ストーリーは、一人の女が4人の男と(自分を色んなタイプに
演じ分けて)付き合うが、やがて破綻が来ると言った話。
「君の体は汚れてる!」と男たちに非難されても
「私は愛したいし、愛されたい。それをこの体で確かめたかっただけよ」
と堂々と答えるヒロイン。今時こんなセリフを映画の中で叫ばれても
時代を感じるだけなんだけど、先日、NHKEテレで、女性の貧困を
特集した番組があって、こんなセリフを吐ける権利もなく、今なお
お金のために体を提供している女性たちのいる現実を見せられて
古い、とは言い切れない映画だなと感じたのです。
ヒロインは敗北したのではない。さっそうと歩いていくのだから。

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これがラストシーン。

最初、タイトルを「人形の家」と思い込んでいた。
人形の家 と言えばこんな句を思い出す。

足袋つぐや ノラともならず 教師妻 (杉田久女)