Lヴィスコンティ「夏の嵐」
「夏の嵐」
「とらんぷさん、こんな映画を観るの?」と言われそうですが
私、基本的に何でも観ます。
私の映画レビュー、やたらアップに時間が掛かるので
あまり他人様が書かなさそうなレビューを書いてるだけで、
(あ、でも「カメ止め」も「万引き」もクイーンの映画も
観てないわ。「万引き」はきっと一生観ないと思う)
この映画はヴィスコンティだし、「第三の男」の
アリダ・ヴァリ主演と言う事で興味深く観た映画です。
映画はオペラの場面から始まる。
オペラに乗じて独立運動が。
オーストリア軍の頭上にばらまかれるイタリアの国旗、
赤、白、緑の色の紙吹雪
余裕のオーストリア軍の将校たち
オーストリア軍の将校のフランツに
決闘を申し込む地下運動家のロベルト
伯爵夫人、リヴィアは従兄ロベルトに決闘を
やめさせようと、
夫のセルピエーリ伯爵に頼むが「関わり合いになるな」と諭され
決闘相手のフランツ・マーラー中尉に直接、中止を頼む。
この出会いが始まり…
ロベルトは流刑となり、リヴィアは抗議に行くが。
二人で歩いている途中、オーストリア軍兵士の死体が。
イタリア人とのいざこざで殺された様子
いざこざに巻き込まれぬように
二人はその場から逃れる。
一晩中、フランツと歩いていたリヴィアは
彼が忘れられなくなり、
人目を忍ぶ仲となる。
しばらく逢えないと
軍の宿舎にまで出向くリヴィア
上流社会の女性は決してこんな真似はしない…
イタリアとオーストリアの戦争がはじまり、
伯爵家は疎開する。リヴィアは恋を忘れようとするが、
あろう事かフランツが忍んできた。
リヴィアの恋が再燃する。
フランツは(医者に賄賂を渡して病気を偽りの診断を
してもらい除隊した兵士)の話をする。
ある夜、(男の方から)と連絡をうけたリヴィアは
夫に嘘をついて出かけるが、待っていたのはロベルトだった。
ロベルトは仲間が集めた多額の義援金をリヴィアに託す。
緊迫する戦況
リヴィアは…
預かった金で…
除隊したフランツの手紙を胸に会いに行くリヴィア
だが、リヴィアが見たのは
荒んだ生活をしているフランツだった。
部屋にいた娼婦にリヴィアを紹介するフランツ
偽りで除隊したフランツは己の誇りを失っていて、
リヴィアを罵るばかり…
リヴィアはフランツが脱走兵だと軍部に密告した。
逮捕され即刻、銃殺されるフランツ
その名を叫びながら、何処ともなく去ってゆくリヴィア
同じタイトルの昼メロがあったけど、無関係です。
映画の原題は「Senso」官能と言う意味だとか。
季節は分かりにくいですが、寒さは感じないから
季節はやはり夏でしょうか。「夏の嵐」ですね。
でも、このヒロインに秋など来ない。取り返しのつかない
罪を犯した彼女は生涯、冬を生きるのでしょうね。
「かくも長き不在」で、女主人としてカフェで働きながら、
ナチに連れ去られて戦後も行方不明のままの夫の帰りを
待ち続ける女を、けなげに力強く演じたアリダ・ヴァリが、
恋に狂ったあげく浅はかな行動を起こして悲劇に走る
有閑夫人と言う、同情出来ないヒロインを演じています。
やはり上手いです。同情はできないけれど、恋ゆえに
破滅してゆく女の翳りを見せてくれます。
監督はヴィスコンティ、貴族趣味はここでも発揮されてます。
衣装やインテリアや調度品など豪華です。
これは同じくヴィスコンティの
「ルードウィヒ 神々の黄昏」のパンフ
この中に「夏の嵐」の解説が載っています。
「夏の嵐」はヴィスコンティの初めてのカラー作品で
また初めて歴史ものに取り組んだ作品なのだとか。
1860年代のイタリアと、ヴィスコンティがこの映画を
撮った頃のイタリアの政治状況が似ている事が
彼の創作意欲を誘ったと言われているそうです。
主人公の二人の扱いにデカダンスの最初の兆候が見られ、
ヴィスコンティの特色が出ている作品と言われている
とも書かれています。
デカダンス…退廃
恋の駆け引きに敗れた女と男… デカダンス…
※「かくも長き不在」もレビュー書きたいんですが、
パチパチ撮った画像を入れたファイルが行方不明…
写真無しではレビューが書けない私です。