蜃気楼のように

ヤフブ時代の遺留品

中国への興味はこの漫画から始まった。

フイチンさん


娘がプレゼントしてくれた本。
娘は「フイチンさん」を知っているのです。
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私が20歳くらいの時、虫プロから刊行されていて
それを持っていて、娘が小さい時に、よく読んでやったのです。
おかげで本はボロボロになり処分したのですが、
この名作を覚えている人は多く、村上もとか氏も
「フイチン再見」を発表しています。
(こちらはチラとしか読んだ事がないけれど、
思い出は人それぞれだから)

私がこの漫画を知ったのは小学校に上がった頃。(半世紀以上前です)
クラスの友達が掲載誌の「少女」を見せてくれたのですが、
幼稚園に通わなかった私は字が読めず、「フイチンさん」と言う
タイトルを聞いて「何だそりゃ?」と思ったものです。
この漫画は小学生の私には理解できない事がいっぱい書かれた
不思議な不思議な漫画でした。
フイチンさんたちがソリに飛び乗って「日本人の友達の家に
遊びに行ってきます」と言うシーンを見て
「日本と中国は、隣の家くらいの距離しか離れてないんだ」
と本気で思っていたし、まず舞台が満州である事が
理解できていなかったのです。
しかし、作者の上田としこさんの作品は「りぼん」で
「ぼんこちゃん」や「チューりップ君」を読んでいたので、
月刊誌ならではの面白さ(毎月の行事を描く)規則正しさや
品の良さを「フイチンさん」でも満喫できたのです。

あ、「フイチンさん」は日本の統治下にあった満州(国)の
大都市ハルピン一の大金持ちのリュウタイ家の
門番の娘の名前です。漢字で書けば恵珍。
(これは虫プロ版の「フイチンさん」の解説に書かれていました。)
明るい性格をリュウタイに買われて彼の一人息子の
遊び相手に選ばれます。(幼児のリウチュウが可愛い)
20歳の頃に読んだ時は、主人公のフイチンさんの
明るさが眩しかった。フイチンさんの元気さや明るさが
羨ましいと言うより鬱陶しくあって
私は現実にフイチンさんのような女性と友達に
なれるだろうか?好きになれるだろうか?
と考えながら読んだのを覚えています。

そして、娘に読んでやっていた時は、もう純粋な気持ちなんてない私は
子供の頃は理解できなかったリュウタイ家の三人の夫人に
想いを馳せ、(フイチンは数年後にはリウチュウの義理の母に
なっているのではないか、つまりリュウタイの第四夫人に
なっているのではないか)などと邪推するのです。
(リウチュウは若くて綺麗でワガママな第三夫人の息子)

しかし、この漫画のおかげで少しの中国語を覚え
(謝謝とか再見とか。ついでにスパシーボとかのロシア語も)
国史や中国古典文学に興味を持つようになり
アジアの大平原を駆けた民族に憧れたのです。
数年前に「還珠格格」と言う台湾の連続ドラマを
楽しみに見ていた時期があった。
(帰ってきた珠姫、みたいな意味)
清朝乾隆帝の隠し子と間違われた馬賊の娘が
明るく元気な性格で、後宮に巣食う悪や堅苦しい生活を
改革して行くストーリーだった。
フイチンさんのようなヒロインだった。